内科併設の総合歯科クリニック
お口の健康は、全身の健康状態と密接に関わっています。
一般的に歯科医院と内科クリニックは個別に存在することが多く、持病をお持ちの患者様が歯科治療を受ける際には、双方の医院へ足を運び、内科の主治医から許可を得たり、お薬の手帳を提示したりする手続きが必要となるケースが少なくありません。
当院は、1階に内科クリニック、2階に歯科室(西川クリニック歯科室)を構える、医科歯科連携を基本とした歯科医院です。
同じ建物内に内科の医師や看護師が在籍している環境を活かし、患者様のお体の状態や処方されているお薬の情報を迅速に共有しながら、安全面に配慮した診療体制を整えています。
内科と歯科が連携する重要性とお口と全身のつながり
近年の医学研究において、口腔内の状態が全身の様々な疾患に影響を与えること、また逆に全身の疾患がお口の中の症状を悪化させることが明らかになってきています。
歯科治療は、単に歯を削ったり被せ物をしたりするだけの局所的な処置ではありません。
出血を伴う外科処置や麻酔の使用など、少なからず全身へ影響を及ぼす処置が含まれます。
医科歯科連携が必要とされる背景
高齢化社会に伴い、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病をはじめ、骨粗鬆症や心疾患などの持病を抱えながら歯科治療を必要とする患者様が増加しています。
これまでは、歯科医師が患者様からの自己申告やお薬手帳の情報をもとに、推測を交えながら治療方針を立てざるを得ない場面もありました。
しかし、内科併設の当院では、1階の内科クリニックと直接、病状や詳細な処方内容を確認し合うことができます。
主治医の判断を迅速に治療計画へ反映させられるため、患者様に過度な負担を強いることなく、状態に合わせた適切なタイミングで歯科治療を進めることが可能です。
糖尿病専門医3名在籍
当院の1階内科には、糖尿病の診療を専門に行う医師が3名在籍しています。
糖尿病と歯周病は、互いに悪影響を及ぼし合う「双方向の合併症」として知られており、内科と歯科が一体となって治療を行う重要性が非常に高い分野です。
糖尿病が歯周病を悪化させるメカニズム
糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が続く病気です。
血糖値が高い状態が続くと、全身の血管がダメージを受け、免疫力が低下します。
お口の中においても同様で、唾液の分泌量が減って乾燥しやすくなり、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。
さらに、歯周組織の微細な血管が傷つくことで、白血球などの免疫細胞が歯周病菌と戦う力が弱まり、歯周病が急速に進行しやすくなります。
歯周病が糖尿病に与える悪影響
一方で、歯周病の炎症も糖尿病を悪化させる原因となります。
歯周病菌が歯肉の毛細血管から血液中に侵入すると、体内で炎症性物質(TNF-αなど)が作り出されます。
この物質が血液を介して全身を巡ると、筋肉や脂肪組織において、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の働きを阻害してしまいます。
つまり、歯周病を放置することは、糖尿病の血糖コントロールを悪化させる要因に直結するのです。
逆に、適切な歯周病治療を行い、お口の中の炎症を鎮めることで、内科的な血糖値の指標(HbA1c)が改善に向かうことが多くの研究で報告されています。
歯周病の特性と気づきにくさ
歯周病は「静かなる病気(サイレントディジーズ)」とも呼ばれ、初期段階では痛みがほとんどありません。
歯ぐきの軽い腫れや、歯みがき時の出血といった微細なサインから始まりますが、生活に支障がないため見過ごされがちです。
痛みに気づいた頃には、歯を支える骨(歯槽骨)が大きく溶かされ、抜歯せざるを得ない状態まで進行していることも珍しくありません。
だからこそ、症状の有無にかかわらず、検査を行う必要があります。
足立区における糖尿病対策と無料チケット(検査)の活用
当院が位置するエリア(足立区周辺)は、統計的にも糖尿病の患者数が多い傾向にあり、行政が主導して糖尿病の予防や早期発見、重症化予防に注力しています。
その一環として、足立区では以下のような行政施策が実施されています。
対象者
64歳以下で、健康診断等の結果、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の数値が「6.5以上」の方
内容
行政から、歯科受診を促す「無料の検査チケット」が配布されます。
この取り組みでは、内科の医師がチケットに患者様の身体情報を記入し、それを持参して歯科医院を受診することで、歯周病と糖尿病の関係性を明確にするためのスクリーニング検査を無料で受けることができます。
当院は、この行政の取り組みに対応している医療機関です。
1階の内科で健診や治療を受けられた患者様が、そのまま2階の歯科室へスムーズに移動し、お口の検査を受けることができるため、手続きの手間や通院の負担を抑えながら、お体とお口の同時ケアを始めることができます。
持病をお持ちの方の歯科治療(有病者歯科)における注意点とリスク管理
糖尿病以外にも、高血圧や骨粗鬆症、心疾患などの病気を抱えている方が歯の治療(特に抜歯やインンプラントなどの外科手術)を行う際には、細心の注意が必要です。
お薬の服用状況によっては、一般的な歯科治療が大きなリスクを伴うケースがあります。
高血圧・心疾患と麻酔・出血のリスク
骨粗鬆症のお薬と顎骨壊死(がっこつえし)のリスク
当院では、内科と連携しながら、安全で迅速な対応を行うことが出来ます。
手術前の周術期口腔ケア(周術期管理)とその効果
当院の医科歯科連携のもう一つの大きな柱が、「周術期口腔ケア(しゅうじゅつきこうくうケア)」です。
周術期とは、病院などで大きな手術を受ける前・中・後の期間全体のことを指します。
(※当院の1階内科では手術自体の対応は行っておりませんが、外部の基幹病院等で手術を受けられる地域の患者様に対して、術前の口腔内環境を整える役割を担っています)
手術を控えた患者様に対し、当院では限られた期間の中で優先順位をつけ、お口の中の衛生状態を整える処置を行います。
適切な口腔ケアを行うことで、術後の発熱日数の短縮、肺炎発症率の低下、さらには順調な回復による早期退院につながることが実証されています。
地域のクリニックとして、病院での治療がスムーズに成功するよう、お口の側面から後方支援を行っています。
万が一の場合の、迅速な救急連携体制
歯科治療に対する極度の恐怖心や緊張は、自律神経のバランスを崩し、一時的な血圧低下や脳貧血(血管迷走神経反射)を引き起こす原因となります。
当院では、すべての患者様がリラックスして治療を受けられるよう、痛みの少ない麻酔技術や事前のインフォームドコンセント(丁寧な説明と同意)を重視していますが、万が一、治療中に患者様の体調が急変した場合の備えも整えています。
看護師・医師の迅速な出動体制
2階の歯科室で治療中に患者様の気分が悪くなったり、血圧の異常な変動が見られたりした場合、すぐに1階の内科クリニックへ連絡できる体制をとっています。
内科の看護師や医師が速やかに2階へ駆けつけ、以下のような医学的処置を迅速に行うことが可能です。
バイタルサイン(血圧、脈拍、血中酸素飽和度)の専門的な測定と推移の監視
必要に応じた酸素吸入や点滴の確保
内科医師による適切な薬剤の処方や応急処置の指示
歯科医師単独では対応に迷うような全身的な体調変化に対しても、すぐそばに全身管理の専門家がいることで、迅速かつ適切な初期対応が可能となります。
この体制は、シニア世代の患者様や持病をお持ちの方だけでなく、「歯科治療がどうしても怖くて緊張してしまう」という若い世代の患者様にとっても、大きな安心材料となっています。
患者様が得られる具体的なメリットまとめ
| 項目 | 従来の一般的な歯科医院 | 当院(内科併設・医科歯科連携) |
|---|---|---|
持病・お薬の確認 |
お薬手帳をもとに歯科医師が判断。 |
1階の内科カルテをその場で即座に確認。 |
糖尿病治療との連動 |
歯科は歯科、内科は内科で個別に治療。 |
3名の糖尿病専門医とデータを共有。 |
万が一の体調急変時 |
歯科医師・歯科衛生士のみで応急処置を行い、重症な場合は救急車を要請する。 |
1階から内科医師や看護師がすぐに駆けつけ、専門的なバイタルチェックや医学的処置をその場で実施する。 |
手術前の口腔ケア |
手術を行う大病院の歯科まで足を運ぶか、手紙のやり取りを経てから近隣歯科でケアを行う。 |
近隣の基幹病院での手術予定に合わせ、内科のデータを踏まえた適切な周術期口腔ケアを迅速に提供。 |
通院の負担 |
内科の持病管理と歯科の定期健診で、全く別の日に別の場所へ通う必要がある。 |
1階で内科の診察やお薬の処方を受けた後、そのまま2階で歯科検診や治療を受けるといった効率的な通院が可能。 |
お口から全身の健康へつなげるために
西川クリニック歯科室では、お口のトラブルを部分的に解決するだけでなく、患者様がこれから先も長く健康に暮らしていくための「全身管理に基づいた歯科治療」を提供しています。
祖父の代からこの地域で医療に携わってきた歴史の中で、私たちは地域の皆様とのつながりを大切にしてきました。
1階の内科クリニックと2階の歯科室がひとつのチームとして機能することで、これまで「薬を飲んでいるから歯医者が不安」「持病があるから抜歯を断られた」と悩んでいた方々にも、適切な配慮のもとで治療を受けていただける環境が整っています。
足立区の糖尿病無料歯科検査チケットをお持ちの方はもちろん、ご自身の体調に合わせた無理のない歯科治療を希望される方は、どうぞお気軽にご相談ください。
お一人おひとりの状態を丁寧に確認し、ご納得いただける治療方針をご提案いたします。

